世界王者はスタート地点

Sports
Sports

2019年11月、WBSS決勝でノニト・ドネアを破り優勝を決めた。

WBSSはWBAWBCIBFWBOの4団体のなかでいずれかの世界王者、または、世界ランキング15位以内のものだけが参加できる。(ウィキペディア:WBSS

各団体でチャンピオン級だけを集めて開催する大会であり、これはつまり真の最強チャンピオンを決める大会といえる。事実上の最強王者、その階級のナンバーワンを決定する。

そのバンダム級大会で、WBA、IBF世界バンタム級王者の井上尚弥(26、大橋)が魅せた。

決勝戦で5階級制覇王者でWBA世界同級スーパー王者のノニト・ドネア(36、フィリピン)と12ラウンドの激闘を演じ3-0の判定で勝利した。

(写真:JIJI.com

 

同階級でもチャンピオンが複数いるボクシングという世界で、真の王者になった井上はどんな選手なのか?

 

 

世界王者はスタート

「結果的にWBSSに優勝しましたけど、今はまだバンダム級で2団体のベルトしか持っていないわけです。4団体を取れば自信を持ってバンダム級で『俺がナンバーワンだ』といえると思っています。」(出典:Number1000号 ナンバーワンの条件

向上心の塊のような男であることがわかる。WBSSでは完全な王者ではない、ということだろうか。井上は4団体全てでチャンピオンなることで認められると考えている。

「最初は世界チャンピオン、イコール輝くセレブみたいなイメージを持っていたんです。それが最初にライトフライ級でチャンピオンになってもたいして話題にならなかった。世界チャンピオンがゴールだと思っていて、いざなったら『えっ、ここがスタート?』みたいな。」

井上にとってはチャンピオンになってからが本当の勝負だった。ただでさえナンバーワンを決めるのが難しいボクシングという世界で、本当の強さを証明するためには1団体だけでのチャンピオンベルトでは物足りなかった。

 

 

オンリーワンとは

-オンリーワンをどう考えますか?

「実力だけじゃなくて、何で惹きつけるか。盛り上げたか。そこが歴史として引き継がれるところ。」

あくまでもナンバーワンを決めるのは難しいと認識している。各団体のチャンピオンたちは皆、こぞって「自分こそがチャンピオン」だとアピールしている。

そんな中、井上は【ナンバーワン】ボクサーとして、意識していることがある。

「やれることは限られています。やはり目の前の試合でいいパフォーマンスを見せるということが一番ですね。」

順位や格付けではない。目の前にいるファンを喜ばせる、という意識を念頭においている。

プロはどの競技も共通して、ファンの存在無くしては成り立たない。それを根本から理解しているからこそ、井上はパフォーマンスに抜かりがない。

 

(写真:スポニチ2019年11月7日

 

井上は、「おそらく井上が勝つだろう」という前評価の試合は好まないという。みんなが難しい試合になる、と判断して逆境に立つような状況の方が断然燃えるそうだ。

井上尚弥、まだまだファンを楽しませる余力を残している。

 

 

〜MINE’s EYE〜

モチベーションは「息子」。

今、井上には2歳になる息子がいる。年齢を重ね、子供ができてから心境の変化もあるそうだ。

自分のためにやっていたボクシングが、今は「家族のため」「息子のため」に変化した。誰かのために、何かを背負って戦う姿は見ているこちらを熱くするし、その思いはその瞬間瞬間を見ていて伝わる。

ボクシングは減量やトレーニングなど、その準備期間が本当にきつい。減量期はご飯もろくに食べられず、水を制限する時期もある。チャンピオンでありながら、尚、磨きのかかるストイックさ。これが井上の強さを象徴している。

アスリートであり、エンターテイナーでもある。

井上は、ボクシングというスポーツを通じて、多くの人の心を動かしている。人々に大きな影響を与えている。

スポーツはいろんな楽しみ方があり、そのスポーツを「する」ことはもちろん、「見る」「支える」ことでもスポーツ活動に貢献し、楽しむことができる。

「見る」「支える」の部分を、井上は多くの人に与えている。プロスポーツは決してその競技者だけでは成り立たず、ライバルやファンが必要だ。

その競技でも、「ファンを楽しませる」という意識が、そのプレーを生み、パフォーマンスを発揮すると思う。井上尚弥さんからそんなんことを学ばせてもらった。

 

タイトルとURLをコピーしました