勝つためのメンタル作り

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Mima Ito (JPN), October 13, 2019 - Table Tennis : 2019 German Open Women's Singles Semifinal at OVB Arena in Bremen, Germany. (Photo by Itaru Chiba/AFLO)
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【脱・完璧主義】

アスリートの「メンタル作り」にはいろんな種類がある。

中でもこの選手のメンタルの作り方は独特かもしれない。他の選手とは違う環境で育ち、特殊なメンタルを手にした。

伊藤美誠

今、卓球王国の中国が恐る日本の卓球エースである。

            【写真:SPREAD

 

「図太さ」が出来上がった理由

子供の頃から伊藤の日常にはカメラが入っていた。幼少期からメディアに注目されて育ってきたことが、今滅多なことでは動じない性格を作り上げた。

大舞台でも緊張はせず、楽しむことができる。当時15歳の時のリオ五輪。そこで伊藤は強豪相手にも気持ちでぶつかっていった。

「リオ五輪とか大きな大会は中国人選手でも緊張するんですが、私は緊張が楽しさに変わるんです。ただ、あの頃は実力がそんなになかったので、100%メンタルだけで戦っていました」

そうして百戦錬磨を積むうちに、「メンタルだけでは勝てない」ということにも気がつき始めた。

実力をつける−。

伊藤の中で確実に力をつけることを追い求め始めた。

そして2018年、中国の劉詩分(リュウシブン)選手との一戦。劉選手は日本人選手に37連勝中と、まさに日本にとってキラーの存在だった。この試合で伊藤は見事、3−2で勝利。「実力が上がった」と感じた瞬間だった。

「リオ五輪から1年間、試合で勝てなくなったんですが、そこから基礎練習を始めて、実力が上がってきたなという手応えは感じていました。それを実感したのが劉詩ブン選手との試合です。青の勝利で自信がつき、『どんな状態でも勝てる』と思いましたし、メンタルに実力が追いついて強くなったと思いました」

 

この1戦をきっかけに、実力がメンタルに追いついてきた、という感覚だろうか。2つが良いバランスウィ保ち、試合でも勝利を重ねた。

伊藤は自分が【負ける時の状態】も理解していた。

「私が負ける時は集中力が切れるか、落ち込むかどっちかなんです。相手はミスした時の私の態度を見ていますが、キツいなって思っても顔に出さないようにしたので、表情や心理を読みにくかったと思います。例えば、手は心理が出てしまうんです。リオ五輪でもサーブでボールを上げる時、手が震えている選手がいて、それを見て『いけるわ』って思いました」

集中力が切れるという弱みをあらわにすることなく、終盤まで我慢できるようになった。

そしてそれが相手に出るかどうか、そこまで観察する。卓球は心理戦でもある。お互いの距離が近い分、心理が身体のどこかに現れる。伊藤は「調子のいい相手でも必ず穴がある」という。そして「精神的に押し潰す」ことを試合では意識する。穴を見つけたらそこを徹底的に突く。相手が勝っていてもまるで相手が追い詰められているような雰囲気にしてしまう。

伊藤には、そのメンタルの強さに裏付けられた自信がある。

 

「完璧」を捨てる

伊藤はある言葉でハッとしたという。

「ある人に『自分に完璧を求めすぎているんじゃないですか』と言われたんです。自分では気づかなかったんですが、『それ、正解』と思って」

結果が出なかった時期にその言葉をもらった伊藤は、ここからすぐに気持ちを切り替えることができた。

完璧を求めすぎるとプレーが硬くなり、自由にできなくなる。本当は自由にプレーしたいことを再認識して考え方の修正を図った。

 

伊藤を指導するコーチも伊藤の「完璧思考」について口にした。

コーチ「考え方というのはすごく大事で、11−9で勝っても11ー0で勝っても勝ちは勝ち。でも、自分の実力を100%出すことを目標にしてしまうと、11−0で勝つような考え方になってしまうんです。練習は完璧を求めてもいいですけど、試合は勝つことに執着しないといけない」

伊藤は持ち前のメンタルの強さによって、格上相手には滅法強い。しかしそうではない相手に対してとりこぼしてしまうケースがあった。

これを段々と自分の課題も理解し、克服傾向にあるという。

コーチ「美誠の場合、相手が強いと自然に勝つことに集中し、勝利に執着できる。でも。実力的にしたの選手になると、勝つことよりも自分の完璧さを見せたがる。試合は完璧を見せる場ではなく、勝つことが重要。そのことに気づいて良くなった」

 

伊藤はもともと最初から完璧を求めた。そこから「勝利」へのこだわりに軌道修正。もともとメンタルがとてつもなく強い。コーチは「独特のメンタル」と表現した。

 

伊藤は、「今は格上も格下も関係ない」とはっきり語る。

          【写真:千葉格/アフロ】

 

〜MINEのつぶやき〜

アスリートにとって、メンタル面の安定、強化の重要性がわかる。

”心” に磨かれた技や鍛え抜かれた体が乗っかると、抜きんでた結果が望めるのではないか。

✅【自己理解】がメンタルを育てる

その心の成長を支えるのが、まずは【自己理解】なのだと思う。

「自分はどんな時に力を発揮しやすいのか」「どんな場所だと落ち着いてプレーできるのか」「どんな人と練習すると集中できるのか」「どんな相手だと分がいいのか(悪いのか)」

全て理解した上で、実践する。練習でも試合でも実践する。伊藤美誠は自分を理解して、そして実践を繰り返してきた。

✅【基礎練習】がメンタルを育てる

そして大事だと思うのがもう一つ、メンタルの向上にも「基礎練習」の積み上げが効果的だという点。

「基礎練習を始めて、実力が上がってきたなという手応えは感じた」

伊藤美誠は基礎の積み上げによって、力をつけ、そしてメンタルの安定に繋がった。

余裕」ともいえるだろうか。自分に力がつくことで他人をよく観察して分析することができるようになっている。

彼女の成功は、一つひとつの積み重ねだけが力になることを教えてくれている。

 

一つ言えることは、彼女も若いながらも勝てない時期を経験し、そこを乗り越えてきた。

大きく立ちはだかる壁でも、

・自分に向き合う姿勢
・基礎を積み重ねる忍耐力

これを身につけることでチャンスは近づいてくることを教えてもらった。

 

 

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