私の記憶にはまだ新しく、鮮明に残っています。
2014年7月27日、夏の高校野球石川県大会決勝戦。星稜 対 小松大谷 の試合で、奇跡が起きた。この一戦、両校は間違いなく歴史に、多くの人の記憶に名を刻みました。
私は当時、この試合で「奇跡」が起きたと思っていましたが、そうではありませんでした。
この試合では「奇跡が起きた」のではなく、星稜チームが「奇跡を起こした」という表現が正しい。そう思えるほど、星稜の選手一人ひとりはあの試合に強い思いを寄せていました。
奇跡はどうやったら起こせるの?
高校球児の取り組みにそのヒントがありますよ!
Contents
メンタルを鍛える
2014年夏、石川大会の決勝戦。
9回表のスコアは8−0。小松大谷8点リードで迎えた最終回。おそらくあの試合を観戦していた99%の人が星稜の敗北を覚悟しただろう。星稜の監督、林さんも「敗戦の弁を考えていた」と述べた。最終回にして、8点差。観衆や関係者のほとんどの人が、もう星稜の決勝戦敗退をイメージしていた。
ただ、グラウンドに立つ選手たちを除いてはー。。
林監督は2011年に監督就任をしてから、一つ解決し得ない大きな悩みを抱えていた。
「能力がある選手はいるんですが、勝てないんです。どうやってメンタルを鍛えていけばいいでしょうか」
監督就任から3年。この悩みをぶつけた先は、当時メンタル指導の専門家としてビジネスシーンで実績を上げていた飯山氏だった。
飯山がまず注目したのは監督自身の「表情」だった。
「とても真面目で、情熱もある監督だと感じましたが、表情が固かったです。『監督がもっと余裕を持って選手たちと接すれば、チームは変わります』と話しました」
前向きから「必笑」へ
飯山のメンタルコーチングの大原則は相手を「前向きにさせる」こと。
星稜高校では、毎年新チームになるとスローガンを決めている。’14年の新チームが掲げたスローガンは「必笑」。
飯山にとっては大賛成のスローガンだった。
特に指導では、「脳をポジティブに切り替えるためには、言葉と行動のスイッチを設けることが大切。試合でミスしたとしておも、無意識下で気持ちを前向きにできるように」と説いてきた。
そして決勝戦。
8−0のスコアで監督すらも敗戦が頭を過ぎるなか、選手たちは誰一人として諦めていない。全員が前を向いて笑っている。その姿勢は、相手からすれば奇妙で、ある種恐怖ですらあったかもしれない。攻撃中、選手の一人がミスしても全く気にしない。「オッケー、オッケー」とハイタッチでミスした選手を受け入れる。
「ミスしても、すぐに気持ちを前向きにー」
これを完璧に体現していた。林監督は「なんなんだこいつら」と唸った。
そして本当に驚いたのは、選手たちの大会へのイメージ。その体現力である。
飯山が明かした県大会前の出来事。選手たちに「決勝」のイメージを聞いた。
すると、
「相手は小松大谷。6点まではリードされても逆転して勝つ」という答えが返ってきた。
そして試合後にはキャプテンが、
「勝つイメージしかなかった」と言い放った。
メンタルコーチの飯山も驚きの試合だった。林監督による一言の相談が、チームを変え、監督を変え、結果を大きく変えた。
奇跡を手繰り寄せた選手たちに敬意を表することはもちろん、この裏にはメンタルコーチの存在があったことも、忘れてはいけない。チームに大きな貢献を果たしたのだ。
まとめ🌱
✅高校生は指導者の表情をよくみている。指導者は余裕のある表情をすることで選手が安心する。
✅意識的に脳をポジティブに切り替えるには、言葉と行動のスイッチを設けることが大切。
✅決して諦めない前向きな気持ちが、奇跡を呼ぶ。
高校野球史の中でも歴史に残る大逆転劇。星稜選手の姿勢に多くの大人が心震わされたのではないか。それは星稜の監督、メンタルコーチも驚くほどの結果だった。
ミスを受け入れ、すぐに前向きに切り替える。
この姿勢を1年続けてきた成果が、最高の舞台で発揮された。すぐに切り替えることは簡単なことではないが、意識し続けることが大事だと思う。
メンタルの重要性を感じた試合だった。