【プロ野球】開幕延期の裏側の真実

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2020年4月23日、日本野球機構(NPB)は12球団代表者会議で、プロ野球開幕後の「無観客試合」の可能性を協議した。

「無観客」決定の起点

 

状況が流動的で開幕日についての結論は次回へと先送り。しかし終息の目処が立たず、史上初めての無観客での開幕が決定的となった。

NPBの新型コロナ対策で大きな起点となるのが、Jリーグと共同設立した「新型コロナウイルス対策連絡会議」だった。Jリーグ・村井満チェアマンは決断をくだした。

「国難と言える状況を乗り切るため、ある意味、異例の協力態勢をとること決断した。我々では結論が出ないので、専門家の意見を聞く。忖度がないようにスポーツ界に関係ない人を選んだ」

 

会議には感染症の専門家も参加し、新型コロナウイルスの情報収集と分析、スタジアムの観客対策、選手やスタッフの感染予防と公式戦の開催について助言を行う。結果、専門家は厳しい意見を出し、プロ野球は4月10日以降の開幕、Jリーグも4月3日以降という判断になった。

結果として、この2つの日本トッププロスポーツが共闘したことは、他のスポーツ団体に1つの指標を示した点でも意義があった。実際に日本高野連関係者も第二回会議に参加し、選抜大会の中止の判断に影響を与えた。

 

選手の感染

開幕延期決定後、無観客のオープン戦、練習試合を行っていたが、その潮目が阪神タイガース所属の藤浪晋太郎の感染が判明したことで大きく変わる。

藤浪は3月26日に味覚障害などを訴え、検査の結果、他2選手と共に陽性反応がでた。

結果を受けて阪神は1週間の活動停止、練習試合も中止とした。他チームも次々と試合の中断を決断し、自粛を余儀なくされる事態となった。

そして1週間後、4月3日に行われた第5回の対策連絡会議ではNPBとJリーグがそろって開幕の目標日を白紙とした。4月7日には東京都を含む7都道府県に緊急事態宣言が発令。こうして全国に自粛ムードが広まり、5月中の開幕、交流戦の中止が決定した。

プロ野球はこの時、完全に停止していた。

 

選手の調整

 

こんな状況でも、選手たちはいつくるかわからない開幕の日に向けて準備を進めなければならない。

巨人の今村球団社長は選手の気持ちと球団としてすべき措置を説明した。

「選手たちは調整のために練習を希望している。球団としては感染拡大防止、選手の健康を守ることを第一に考えながら、安全な環境で調整してもらうことと両立させようと取り組んでいる。調整をしたい選手にしっかりと感染防止対策を講じた場所を提供するのは球団の責務だと思っている」

 

具体的な策としては、練習チームの班分け、ロッカールーム・食堂・トイレの消毒徹底、食堂での対面着席禁止など。時間差を活用してできるだけ人同士の接触を最小限に減らす工夫をした。

しかし心配事は尽きない。

自宅中心のトレーニングでは、限界がある、特に投手はキャッチボールをまともにできる場所の確保もできない。キャンプで作った肩をどう維持し、開幕までに仕上げていくかという問題がある。

明確なプラン設定と柔軟な対応が必要になる。チームはそのなかでもベストな環境を用意することが必要だ。

 

「発信」と「寄付活動」

世界でもスポーツは停止状態だった。

その時、世界のアスリートたちは自身のSNSなどでトレーニング風景やメッセージを発信した。

感染対策に最大限の配慮を配りつつ、アスリートにとって必須である「練習」をやめない。この状況を発信することで、新たな生活様式を受け入れる姿勢を多くの人に届けていることになる。

 

そして、スポーツ選手はこれまでも「復興」に大きな役割を果たしてきた。この新型コロナも例外ではない。

「比較的早い段階から何か支援活動をしたいけどやり方がわからない、選手会で何かできないか、遠いう声は出ていたんです」

プロ野球選手会の巨人・炭谷が話す。

実際に、インターネットのクラウドファンディングを通じて医療機関や団体をサポートする基金への寄付を募ることを発表した。こうした動きに日本を代表する選手である柳田(ソフトバンク)や糸井(阪神)がすぐさま寄付を行った。効果は大きく、寄付金は2週間弱で2億円を突破。選手たちの活動の成果が目に見える形で現れている。

 

忘れてはいけないのが、プロが本当の意味での使命を果たせるのは、グラウンドに立った時である。

過去に例がないような状況で、コツコツ準備を重ね、開幕時にはファンに最高のプレーを披露する。

社会的影響力が大きいということは、その分の苦労も当然ある。しかし多くの人を喜ばせ、勇気づける力があるのだ。

 

 

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