2020年春、人々が想像もしなかった世界になった。
コロナウイルスの脅威は世界中を混乱させ、スポーツを止めた。スポーツが開幕する季節にスポーツは中止することを余儀なくされてしまった。
その最中、やり場のないアスリートたちは何を思い、そして何をして過ごしたのか。
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中田翔の過ごし方
(写真:デイリースポーツ)
野球選手のジレンマ
「バッターというのは「生きた球」を打たないと実践感覚を維持していくことができないんです。打席の中の感覚というのは実戦の中でしか調整することができないんです」
2020年春先、オープン戦もできず、練習試合もできない状況。全選手が自主練という調整方法を取らざるを得ない状況である。中田は「バッターとしての試合勘」が失われることを恐れている。
「今シーズン、僕たちは野球ができるのか。正直に言えば、そんな不安すら抱いています。
個人的に言えば体は最高の状態です。毎年2月に行うキャンプを今年はもう2回りか3回りくらいやっているようなものなので体力的なコンディションというのは万全です。ただ、僕らはボディ・ビルダーではありません。野球ができなくては意味がないんです。一体いつになったら野球ができるのか…。そういうもどかしさを日々、感じています」
また、中田自身が「感染しない」ことは家族を守るためでもある。家に帰れば子どもたちが待っている。自粛期間中、自主練習を終えた後は、家の中で思う存分家族サービスをする。普段取れないような時間で、子どもと共にエネルギーを発散させる。野球選手である前に、一人の父としての役割もある。
野球選手が「今」できること
中田はこの状況を踏まえてこんな言葉を口にする。
「世の中がこういう状況のときにプロ野球選手として何ができるのか。そう考えてみることもあります」
今は応援してくれているファンとの交流も握手もすることができない。そして大きなホームランを打ち、お客さんを喜ばせることもできない。
そんな状況で「プロ野球選手にできる」ことー。
中田はその一つの答えとして「インスタグラム」の活用を実践した。
「インスタグラム」は今、世界中で若者を中心に幅広い世代に人気を集めるSNSだ。その利便性やビジュアル、使いやすいことから、幅広い年齢・人種の人たちが活用している。
「自分が今、どういう状況で何をしているのか、これまでよりも頻繁にアップしています。子どもたちに手洗いやうがいの大切さを訴える、球団がプロデュースした動画にもチームメイトと一緒に出演しました。」
「何かを発信すればたくさんの人に見てもらえる、知ってもらえるというのはプロ野球選手である僕らの特権です。だからこそそれなりの義務もあると思うんです」
外出自粛を訴えたり、ファンに向けて近況を報告したり、、
できることは限られている中でやれることをやる。
中田は打席に立ってホームランを打つ代わりに、「やれること」でファンの期待に応えている。
まとめ:限られた環境でできることを見つけよう!
✅自粛中、試合勘を失わないように工夫する必要がある
✅野球選手はSNSなどで「発信」することでプロとしての大きな役割を発揮することができる
プロアスリートとして、自らの競技の成果を発揮する場がないもどかしさは想像以上だと感じている。
中田は自分のもどかしさもあるが、プロとして、注目度の高いアスリートとしてできることは他にもあることに気づき、いち早くそれを実践している。
気づいていてもできない人が多い中、この行動力が競技にも影響が出ているのではないだろうか。
今、自分ができることはなんだろう。