コロナ禍での過ごし方【一流選手の生活】#2

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2020年春、人々が想像もしなかった世界になった。

コロナウイルスの脅威は世界中を混乱させ、スポーツを止めた。スポーツが開幕する季節にスポーツは中止することを余儀なくされてしまった。

その最中、やり場のないアスリートたちは何を思い、そして何をして過ごしたのか。

今回は日本球界を牽引するトップ選手の考えや取り組みを紹介する。

 

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大野雄大

力投する中日先発の大野雄=(時事通信

 

3年ぶりの開幕投手。

中日ドラゴンズに所属する大野は2月の沖縄キャンプで、監督から開幕投手を告げられていた。

3月上旬に開幕が4月10日に延期になった時は、パワーアップする期間をもらったと思えばいいんだと前向きに捉えていた。

しかし、感染状況は好転するどころか悪化。開幕が白紙になった。

「開幕が白紙になったときは正直、頭が真っ白になりました。ずっと目標にしてきたものが急に目の前から消えたので……。正直、新型コロナウイルスの影響がここまで拡大するとは思っていませんでした」

 

しかし、同時に大野にとって大きな気づきがあった。

「考えようによっては悪いことばかりではありません。ドラゴンズは4月頭に数日間、自宅待機の期間があったのですが、それが明けて名古屋球場で練習ができた日、すごく感動したんです。動ける場所があって仕事があってノックを打ってくれる人がいる。今まで当たり前だと思っていたことがどれほど幸せなことかに気づけたんです

 

千賀愰大

(写真:Yahoo Japan

 

野球人である前に一人の人間としてどうあるべきか。

球界のエースはそんなことを考え、自問自答を繰り返す。

「今回、改めて気づいたのは、自分がどれだけ依存していたのかということ。食事も睡眠も。日常の全ての行動が野球選手であることを前提に、ベストな状態でグラウンドに立つことを想定した逆算で決めていました。それが突然、目の前から消えた。今、なんのために何をすべきか…そんな難しさを感じています。

野球人としては、プロとして結果を出して、プレーでお客さんを喜ばせる。しかし、一人の人間として何をすべきなのか。野球をしていていいのだろうか。そんな葛藤にも悩まされている。

「プロ野球はエンターテインメント。人間が生きていく上で、命をつないでいく中で、食べるとか衣服とか医療のように必需的なものではありません。それでも、プロ野球を大事に思ってくれる人がたくさんいる。僕らは一生懸命のプレーで思いに応えるのはもちろん、ファンサービスのあり方も含めて色々な形をもっと考えていくべきだと強く思うようになりました

 

吉田正尚

©️KYODO NEWS IMAGES

 

吉田は今年でプロ5年目を迎える。1・2年目は怪我に悩まされ、シーズンを思うように過ごすことができなかった。

苦しみを乗り越え、3・4年目は全試合出場を果たした。その影には地道なリハビリ生活に向き合い、体のケアに人一倍気を使う姿勢があった。

「怪我をしていた頃は、いつ復帰できるのか先が見えず、苦しかったですが、もうとにかく必死で生きていく、という感じでした。必死にリハビリをやって、物事をプラスに考えて。その1日は辛いし、長いけど、歯を食いしばって何か一つ自分のものにする一日一日、その日の目標を見つけながら、最終的な目標に向かっていければいいんじゃないでしょうか

 

一日一日を、今できることにフォーカスして全力でやり切る。

「もし今、家で素振りができるなら、思いっきり振ればいい。野球できるようになった時に、外で遠くに飛ばせるように、そうイメージしながら。もちろん野球に限らず、好きなこと、夢中になれることへの熱量を、こういう状況の中でも持ち続けて欲しいなと思います」

 

近本光司

 

阪神タイガースにスピードスターの新人が現れた。プロ1年目の昨季は盗塁王を獲得。

阪神は3月26日〜4月14日までの3週間、チーム関係者を全員自宅待機とした。この期間を近本は「最高の準備期間」と捉えた。

「自宅でできることは限られていますが、精神修養には制限がない。そこで嫌いなコーヒーを毎朝飲むことにしました。脂肪燃焼に効果があるのは知っていますが、僕が求めたのはそこではない。苦手なものを克服することがメンタル強化になると考えたんです。

まだ美味しいとは言えませんが、なんとか克服することができました。小さな成功体験の積み重ねがやがては大きな成長につながるのだと思いながら、モーニングコーヒーを淹れています。僕にとっては目覚めのコーヒーもトレーニングなんです

 

自分の嫌いなこと、苦手なことに取り組むのは大きなストレスにもなる。しかしそこをあえて自らに課して、克服する。これを野球以外にも置き換えて、日常生活の中から行った。これも全て野球のたのためのメンタル強化のためだ。

 

そして環境が変わり気がついたことは、ファンの存在の大きさ。

「しばらくグラウンドから離れたことで、甲子園の大歓声の中で野球ができることの喜び、ありがたさを改めて強く実感しました」

シーズン開幕を、選手は誰よりも待ち詫びている。

 

まとめ:大変な時こそ新たなチャレンジに取り組もう!

失って気づくことがある。当たり前に感謝しよう!

✅「一人の人間」として何ができるか。プレー以外にもできることを考えよう!

✅大きな目標に向かって、1日ごとも目標も立ててみよう。それに毎日、全力を注ごう!

✅自分の苦手なことに取り組んでみよう!

 

やはりこの期間をネガティブにとらえることはない。

当たり前に思っていた環境に感謝できるきっかけになったり、競技以外の面からメンタル強化に挑戦したり。

できることはいくらでもある。成功者は今できること、目の前のことに全力で取り組むことができる。

これはスポーツ以外にも当てはまるのではないかと感じている。後で振り返った時に「いい時間だった」と思えるか?

今からでも遅くはない。準備できる人は最高の準備に取り掛かろう。

 

 

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