頂点を知る2人のトップアスリート、彼らだけが知る世界というものがあります。
羽生結弦と小平奈緒。
両者、日本人なら誰もが知る世界のトップに立った金メダリストですね。
トップアスリートだけが知る景色、彼らだけが見える頂上はどんな景色なのでしょうか。
- 壁の乗り越え方を知る
- 苦しい時の向き合い方を知る
- トップに立つ人が見ている世界を知る
当然、どんなトップアスリートにも「悩み」はあります。
強さはどこから生まれるのかと言うと、壁にぶち当たった時にどのように向き合うか。
この「向き合う力」にこそ、「強さ」があります。
Contents
羽生選手の苦労
(写真:AP)
昨年の羽生選手は、2月の四大陸選手権優勝で史上初のスーパースラムを達成。
その直後に新型コロナウイルスが世界相手にも猛威を奮うことに。
このコロナ期間、練習は真夜中など他の使用者と被らない時間帯で、しかもたった1人。
ブライアン・オーサー・コーチはおらず、練習メニューやプログラムの振り付けを自分で考えるなど、厳しい状況が続いた。「自分のやっていることがすごく無駄に思える時期があった」と語ったように精神的な苦しみも深く、秋ごろには「暗闇の底に落ちていくような感覚があった。どん底まで落ち切った」という。
✔︎小平さんのように、経験を使えている選手をすごいと
だが、羽生はそこから自力で這い上がった。ショートプログラムではスピンに「0点」をつけられながらも首位に立ち、フリーでは羽生ならではの世界観を存分に見せつけた。
数カ月に及ぶ孤独なトレーニングを強いられてなお、これほどの完成度に達することができるのかという圧巻のパフォーマンス。その結果、全日本選手権で通算5度目の優勝を飾った。
今季はシニアデビューした10-11シーズンから数えて11年目。26歳になった羽生は、優勝後に2人のアスリートの名を出して、こう言った。
「競技人生を長く続けてきて、今まではテニスの(ロジャー・)フェデラー選手や、(スピード)スケートの小平(奈緒)さんのように、経験を使えている選手をすごいと思っていました」
名を挙げた2選手の競技は、対人スポーツのテニスとタイム競技のスピードスケート。対して、自身は採点競技のフィギュアスケート選手である。そこに羽生は何らかの難しさを感じていたようだ。
「フィギュアスケートは(経験を)使いづらいと正直思っていました。でも、やっとそれを生かせるようになってきたのが今回の試合でした」
その言い回しからわかるのは、羽生自身が一段高いところに上がったと感じていることだった。
(引用元:Number Web 矢内由美子 著)
記事にもあるように、トップに立ち、スーパースラムという絶対的な称号を手にしてもなお、
他競技の選手から学ぼうとする姿勢が羽生選手の“強さ”だと感じました。
なかなか、他の競技から吸収することは、内容も課題も異なることからすんなり受け入れるのは難しいことです。
それでも何かを他から得ようとする“貪欲さ”、“前向きさ”が強い選手にはあるんです。
なぜ羽生選手が再び立ち上がることができたのか?
ポイントは3つです。
2.メンターを設定した
3.“やる”と決めたことをやり続けた
平昌五輪に金メダルを獲得した時もそうですが、土壇場に強いですよね。
当時も直前まで怪我をしておきながら、圧倒的な集中力とGRITによって、圧巻の演技を見せたわけです。
これが、世界でトップに立つ選手の底力であり、
今年のコロナウイルスによる“孤独”という見えない敵にも立ち向かう強さでした。
3つのポイントから見る“強さ”
(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)
では、この3つのポイントは羽生選手に対して、どう貢献したのか。
1の“無駄”に向き合うという点。
羽生選手は、「自分のやっていることがすごく無駄に思える時期があった」と話ました。
この感覚は、羽生選手、もしくはトップアスリート独特の感覚というわけでもなく、
おそらく誰もが感じたことのある感覚なのではないでしょうか。
「今やっている仕事、何の意味があるんだろう…」
「こんなことしなくてもうまくできるのになあ…」
こんな気持ち、感じたことはありますよね。
誰しも「無駄」に思えることに取り組んでいるとき、どうしてもそれをやめたくなってしまいます。
でもそこをぐっと堪えて、うまくいかなくてもなんとか向き合う。
「どん底」と言いながらも、逃げなかった姿勢が全日本の結果につながったのは明確です。
そして印象的なのは2の「メンター」の設定。
羽生選手は、テニスのフェデラー選手と小平選手を「経験を使えている選手」と表現しました。
そちらも他競技のアスリートです。
しかし2人の“経験を活かす力”に惚れ込み、自分もそれを活かすように調整したのです。
ここでわかることは、羽生選手は「勝つ」ことの先に焦点が向いているということ。
強くあり続けるためでしょうか。
学べるものを貪欲に、全て吸収するくらいの姿勢を感じます。
小平選手の苦労
(写真:共同通信)
ここでもまた、トップアスリート・金メダリストが苦しんでいました。
昨年11月中旬に同じ会場で開催された全日本選抜の女子500mで2位になり、国内の大会のこの種目で5年ぶりに優勝を逃していた。そこからどのように修正できているかが注目されていた。
厚さわずか1ミリの刃(ブレード)に乗って時速約60キロでカーブに突入するスピードスケートは、精密で細やかな体の使い方が必須となる競技だ。その中でつねに最速を突き詰めてきたのが小平。ところが今季は、体のある部位に違和感を覚え、心地の悪さが膨らんでいたという。
そこで11月下旬にトレーナーのもとへ行き、体をチェックした。すると、トレーナーの指摘と自身が感じていたことが合致し、違和感の原因が判明した。シーズン途中という異例のタイミングではあったが、意を決して体のリセットに着手した。
このため、全日本選手権は全身のセッティングを再構築している過程での出場となった。結果は平昌五輪で金メダルを獲得した女子500mで2位。世界記録を出したことのある同1000mでは4位と表彰台を逃した。
全日本選手権で悔しい思いを味わうことになった小平はこのように言った。
「競技をしている中で困難な状況は何度か乗り越えてきている。苦労はあっても、目を背けたら生きている感じもしない。自分だったら乗り越えられるだろうという自信はある。乗り越えてみたいと思っている」
一方、さまざまな葛藤を抱えながら全日本選手権の舞台に立った羽生は、そこで湧き出た思いをこのように表現した。
「スケートじゃないと、自分は感情を出せない。全ての感情を出し切ることができない。そう思った」
(引用元:Number Web 矢内由美子 著)
言葉と姿勢に学ぶ
「苦労はあっても、目を背けたら生きている感じもしない」
「乗り越えてみたいと思っている」
この言葉を皆さんはどう感じるでしょうか?
僕には圧倒的な自信、絶対的な自信を感じつつ、
“苦労”を楽しんでいるようにも感じました。
これまでの経験値、場数の多さ、苦労は成長のための肥料だと言わんばかりのタフさ。
全てがこの小平選手の根元を支えていて、言葉にも一切の揺らぎを感じません。
✔️小平選手はそもそも、なぜピンチの状況で自信が持てているのでしょうか?
これまで世界の頂点に立つ経験もしてきて、当然苦しい思いもしてきている。
そんな状況を何度も何度も繰り返してきているのでしょう。
一つ、確かなのは、何もしなかったら何もないままだったということ。
自ら未来を描き、自ら行動し、自ら経験し、反省して次につなげる。
アスリートとはいえ、誰にでも当てはまる重要な生き方です。
まずは日々の小さな経験から、少しずつ積み上げていけると自信は大きくなっていくはずです。
コツコツ、淡々と。
刺激し合う関係性
平昌五輪ではともに金メダルに輝いている。小平が出た女子500mのレースは、羽生が男子シングルで五輪連覇を達成した翌日。羽生は、平昌五輪前年の17年11月にあったNHK杯の公式練習中にジャンプで転倒して右足を痛め、その後の大会をすべて欠場したが、ぶっつけ本番で五輪の舞台に立ち、不死鳥のごとく五輪連覇を果たしていた。
その演技を選手村でテレビ観戦していた小平は、羽生からこれ以上ないエネルギーを受け取って500mのレースに挑んだと言っていた
「羽生選手は、リンクに立った時に、何も考えなくても技が決まりそうなたたずまいをしていた。自分もこんな風にできたらと思いました」
その言葉通り、女子500mのスタートラインに立った小平の心は無の境地に至っているようだった。結果は五輪新記録となる36秒94。驚異的なタイムで金メダルを手にした。
競技は違えど、アスリート同士が刺激しあえる関係性っていいですよね。
これまでの道のりが険しく、簡単ではなかったことは、間違いなく共通項でしょうから、
彼らのプレー、競技を見ると、きっと感じることがあるのだろうと思います。
まとめ:苦労を楽しもう!
✅苦労に向き合い、その瞬間を“生きる”
改めて感じたことは、トップアスリートは何も、特別な人間ではありません。
彼らは自らの人生の中で現れる、目の前の壁や苦労から目を背けなかった、
正面から向き合って乗り越えようとした。
この姿勢が“強さ”に変わるんだなと感じました。
そしてこの法則はアスリートだけではありません。
一般人、社会人、どんな人にも共通です。
今、目の前にあるその壁、一度本気で向き合って、闘ってみましょう。