水上の王者

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オリンピック2大会連続、2種で金メダル。まさに王者。

北島康介

圧倒的な強さで、人々の記憶にも残るアスリートのひとりである。

オリンピックでも、世界選手権でも、その競技で金メダルをとれる選手はひとりのみ。その枠に入る、掴み取ることが偉業だと言っていい。それを「2種」で、しかも「2大会連続」で獲得した。

ここまでの強いアスリート、その秘密はどこにあるのか。

 

 

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憧れから【目標】へ

(c)AFP/Toru YAMANAKA(2007年8月21日撮影)

 

水泳を始めたのが5歳の頃。小さい時のオリンピックの記憶もやはり水泳だ。

ソウル五輪、背泳ぎで金メダルを獲得した鈴木大地選手の「バサロ」、バルセロナ五輪平泳ぎで金メダルを獲得した岩崎恭子選手。彼らの活躍を見て、「自分のこういうオリンピック選手になりたいと夢を描いたような気がする」と言った。

 

子供の頃に夢見ていた彼らやオリンピックの存在が、現実の【目標】に変わった時。

「中学3年ですね。全国大会で優勝して、別次元だと思っていたのが、目指すべき現実に変わっていった。中学2年の終わりから平井さんにマンツーマンでコーチしていただき、この人とならオリンピックに行けるかもしれないと思いました。」

平井さんがコーチになった時から、北島は大きく飛躍した。中2から中3、そして高校1年のインターハイで当時の日本ランキング3位相当のタイムを叩き出した。

記録に自信を持ち、そこからグングンと成長した。

そして17歳の頃、初めてのオリンピックに出場。シドニー五輪。

「この時は夢舞台だったオリンピックに出られた満足感だけですよ。今考えると、勝負は二の次で、決勝に残ってメダルを獲れたら良いなというふわっとした気持ちでした」

結果は全体4位。北島は「もう少し頑張れば」金メダルを狙えたという感覚を得た。

ここから北島の躍進が始まることになる。

 

 

ライバルの存在

 

シドニー五輪を4位で終え、アテネまでの4年間。この4年をどう過ごしたのか。

「4年というスパンで考えると、ほぼイメージ通りにいきました」

最初の2年で怪我や、思い通りにいかない経験もした。しかし徐々に調整し、’02年のアジア大会、’03年の世界選手権で金を獲り、世界記録を叩き出した。

この記録の結果は「大きかった」と表現している。

 

そしてアテネを迎えるまでの期間、最も北島を刺激し、鼓舞していたものは【ライバル】の存在だった。

 

ブレンダン・ハンセン選手。

 

アテネ五輪の前から、常に世界記録の奪い合いをしていた。

 

「あいつには負けられない遠いう意識はありました。世界記録レベルで戦えるのは僕とハンセンしかいないのはわかっていた」

まさに1on1の戦い。

決勝は8人で競うが、北島とハンセンの舞台。他の6人のことは、レース中も「ほとんど気にならなかった」という。

記録を更新すればどちらかがさらに更新する。

それを繰り返すことで、北島の心にも火が灯り続けた。ライバルの存在がお互いを高め合う。

 

限界を超えていくために

アテネで2冠を達成した後は、王者として北京五輪に臨むことになる。

この頃には、北島はある意味自分との戦いに集中していた。もちろんこの頃にはライバルは存在しており、ノルウェー出身のダーレ・オーエンなど強敵がひしめいた。

しかし北島はオリンピックで世界記録を出すことにこだわり、北京で金は獲ったものの、新記録が出なかったことで少し悔しさがあったという。

 

終わりのないこの向上心はどこから湧き出るのだろうか。

限界を超えていくために、自らの強みを語った。

「僕はリミッターを外すことができる。自分の脳が限界だと思っているところを超えていく。これと決めた時の集中力の高さは誰にも負けなかったと思う」

北島の強さはいざという時の集中力の高さ、コンフォートゾーンの高さがずば抜けている。

 

 

〜MINE’s EYE〜

信頼できるコーチの存在。そして刺激しあえるライバルの存在。

北島を強くしたのはここにあった。

コーチの存在が自分の可能性が加速し、ライバルの存在がその限界をさらに高みに追い上げた。

何度も世界記録を更新し、2大会連続で金メダルを獲る強さは、
北島の向上心を高め続けた周囲の存在もあった。

 

金メダルや優勝という目標を据えて、実際にそれを達成するとそこで燃え尽きてしまうアスリートも多くいる。

そんな中、引退の日まで自分の限界に挑み続ける姿勢があった。

このことは決して泳ぐのがうまく、良い選手だからできているわけではないと感じている。

子どもの頃に持った、「もっとうまくなりたい」「もっと速く泳げるようになりたい」という感覚を忘れていない。だからこそ成長が止まらない。

 

【子どものようなアスリート

失礼に捉えられてしまうかもしれないが、私は最大限の敬意を持って、あえてこのように表現したい。

 

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